人間界をおびやかす新型コロナウイルス。未知のウイルスだけに不安は募るばかりです。
自分が感染する心配もしかり、その事によって一緒に暮らしている猫にはどんな影響が及んでしまうのかも心配なところ。
ぼんやりとした不安をもしもの時の為に具体的に考えていきましょう。
コロナに関する猫の影響
そもそもコロナウイルスというのは以前から犬や猫の間に存在する病名です。猫の場合はコロナウイルスが突然変異し猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP ウイルス)という致死率の高い病気になる事が知られています。しかしこのコロナウイルスはアルファコロナグループに属し、新型コロナウイルスはベータコロナグループに属するのです。そして犬や猫が感染するコロナウイルスは種特異性(種の壁を越えて他の動物に感染することは殆どない)が高く人間には感染しないとされています。
それでは、今回の新型コロナウイルスにおいて種特異性はどうなのでしょうか。
これまでの世界中からの報告をまとめてみます。
- 中国の研究チームより、新型ウイルスを鼻から注入した5匹の猫の経過を観察。このうち2匹はウイルスの増殖状況を確認するために6日目に安楽死させたところ、ウイルスが体内から見つかった。 感染した残りの3匹は別々にケージに入れ、それぞれの隣に感染していない猫を入れたケージを設置して観察。この結果、隣にいた3匹のうちの1匹からもウイルスが検出された。研究チームは「ウイルスが猫と猫の間で飛沫(ひまつ)を介して伝染する可能性がある」と結論付けた。(1-2月)
- ベルギーでは新型コロナウイルスに感染した女性の飼っていた猫が飼い主感染後の1週間後に発症(下痢、嘔吐、呼吸困難)しこの猫の糞便を調べ感染を確認。(3/27)
- ニューヨークのブロンクス動物園で飼育員からライオン1頭とトラ1頭が新型コロナウイルスに感染したとされています。(4/5)
- ニューヨークで飼い猫2匹が新型コロナウイルスに感染したと発表した。2匹とも軽度な呼吸器系の症状があるものの軽症であるとされている。(3/22)
このように人から猫にうつるという事例が報告されていますが、数は少なく世界の多くの専門家は人からペットにうつったとしてもペットから人にうつる可能性は限りなく低いと考えられています。
但し、未知のウイルスではありますので今後の動向には注意をはらわなければなりません。
もし自分が感染してしまったら。
その時、猫の面倒は誰がみるのか。
ペットと暮らしている人は誰でも自分が急病になり入院しなければいけない状況になった時、誰が同居しているペットの面倒をみるのかは今回の新型コロナウイルスに限らず想定しておかなければならない事です。
私自身3匹の猫と暮らしていますが、主人や中学生の娘もおり、私一人が自宅を離れなければならない状況になってもさほど危機感を覚えません。
ですが、一人暮らしで感染した場合はどうでしょうか。現状では入院あるいはホテルの部屋で一定期間、隔離生活を余儀なくされる場合があります。そんな時の為に予め猫を預かってもらえる先を確保しておかなければなりません。一番現実的なのは親族、友人、知人でしょうか。先述のように飼い主からペットに感染していなくても被毛にウイルスが付着している場合があります。その事を理解し対応してもらえる先が必要になります。
動物病院やペットホテルという選択肢もありますが、リスクのある動物を預かってもらえるかは難しい所です。
東京都獣医師会のHPからもし飼い主が新型コロナウイルス感染に感染し入院する事態になった時は、自宅にてペットの世話をしにきてもらうのではなく信頼できる人に預かってもうらうのが良いと書かれています。
その際、ペットの被毛にウイルスが付着している事があるので洗浄する事。洗浄が不可能な場合は預かってもらう先で感染対策(マスク・グローブ・手洗い消毒・部屋の隔離)をしてもらう事が必須です。
感染してしまい軽症な場合で自宅療養をする場合において、猫を預かってもらえる場合は上記のような対策をして接触を断つのがよいですが、一緒に暮らす場合、可能であれば部屋を分ける、接触を避け除菌を徹底するなどの対策をとりましょう。
ペットを飼っている飼い主が続々と不安の声を上げる中、立ち上がった企業もあります。
ペット保険のアニコムでは「#StayAnicom プロジェクト」として飼い主が新型コロナに感染しまった場合に飼い犬、飼い猫を無償で預かってくれる活動をしてくれています。しかもこの活動なんどアニコムの保険に入っていなくても受け入れOKなんだそうです。なんと懐の広い活動なのでしょうか。
詳しくはこちら https://www.anicom.co.jp/release/2020/200410.html
新型コロナに感染してしまった飼い主さまのためのサービスです。「困ったら、アニコムにステイしてほしい」という想いをもとに発⾜したこのプロジェクトでは、アニコムの保有する施設の⼀部を開放し、飼い主さまが隔離施設で生活する間や入院の間、そのペットを無償でお預かりします。お預かりの間は、アニコムの獣医師を中⼼とした社員有志がお世話します。
万が一猫が感染したと疑われる場合はどんな症状になるのでしょうか。その時の対応は?
猫が人から感染したという報告は数例ではありますがが、猫の体調が優れない場合はどうしたら良いのでしょうか。
まず、症状としては呼吸器症状(咳 , 鼻水 , 発熱 , 呼吸音の異常 , 呼吸困難)・消化器症状(嘔吐 , 腹痛 , 食欲不振 )が出るようです。
平常時猫の体調に異変があった場合は動物病院に連れていくのが普通ですが、飼っている猫が感染した人間と濃厚接触し上記のような症状がある場合はいきなり病院につれていかず事前に電話で相談しなければなりません。
そして病院に猫を連れていくのは健康な人間一人で。ちなみに現状では猫のPCR検査は行われいません。
備えあれば憂いなし。今のうちに出来る準備を。
・自らが感染してしまい隔離生活になってしまった場合、容易に出歩く事ができません。ペットの身の回りの物はストックを十分にしておく必要があります。フード(特に療養食の場合は手に入りにくく切らしてしまうと猫の健康状態にも関わります)・猫砂・ペットシーツなど。
※我が家の場合ですが、飼い猫が腎臓療法食を食べておりストックが無くなりそうになったら直前に動物病院で購入してというサイクルでした。しかし4月に入ってからは仕入れ先が国外で輸入が不安定になるかもしれないとの懸念から獣医さんの勧めで3カ月分を前倒しで購入しました。
人間界でもそうですが、想像しえない物が入手困難になるので命に関わるようなものは先に購入しておく方がよいでしょう。
猫への感染リスクを防ぐには
まずどんな病気からも感染リスクを防ぐにも必須なのが「完全室内飼い」。
中国の研究チームが行った実験では、新型コロナウイルスが猫同士で感染することも分かったとしているので、このようなリスクを回避する為にも完全室内飼いは強く推奨します。
飼い主が気をつける事としては外出時、不必要に動物と接触しない。帰宅時は家に入る前に消毒スプレーなどで除菌し手洗いをする。ウイルスは飼い主の靴の裏にでも付着し家に入ってしまう事もあります。
また、今の時期は特に飼い猫との過度なスキンシップは控える方が良いでしょう。
厚労省などが発信している情報をまとめます
新型コロナウイルスと猫について公にされている情報を引用形式でまとめてみました。
Q 飼育しているペットから人が感染した事例はありますか?
A また、ペットを飼育する上で注意すべきことはありますか?
これまでのところ、新型コロナウイルスがペットから人に感染した事例は報告されておりません。
しかしながら動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触した後は、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うようにしてください。特にペットの体調が悪い場合はできる限り不必要な接触を控えましょう。出典:厚生労働省
Q 新型コロナウイルス感染症は飼っているペットからうつりますか?
A 感染した人と接触した何匹かの犬や猫(飼い猫とトラ)は、新型コロナウイルスの検査で陽性を示しました。加えて、フェレットについても、感染しやすいように考えられています。研究では、猫とフェレットはそれぞれの種の別の個体に感染させ得るとの結果があります。しかしながら、これらの動物たちが人に新型コロナウイルスを感染させ、ウイルスを広げる役割を担うという証拠はありません。新型コロナウイルスは、主に、感染した人の咳、くしゃみ、会話の際の飛沫を通じて広がるものです。
引き続き、新型コロナウイルスに感染した方や感染のリスクがある方は、伴侶動物や他の動物との接触を控えることを推奨します。動物の取扱いや世話を行う場合は、一般的な衛生管理を常に行う必要があります。これには、動物とのキス、舐めること、フードのシェアと同様に、その動物、フード、その他の用品を扱った後の手洗いも含まれます。出典:世界保健機関
「新型コロナウイルスと猫」に関する情報サイト一覧(日付順)
IDEXXの小動物における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報提供(Aは引用元参照)
Q1.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは?
Q2.ペットはCOVID-19に感染したり、他の個体にうつすことはありますか?
Q3.犬猫に対するCOVID-19の検査を行っていますか?
Q4.犬猫に特有のコロナウイルス検査は行っていますか?
Q5.犬猫でCOVID-19の予防はできますか?出典:2020年3月23日時点の情報 IDEXX
JBVPからのお知らせ ベルギーの飼い猫で新型コロナウイルス発見(詳細は引用元参照)
・ベルギーの猫
今回のベルギーの猫については,Ghent University 獣医学部のSteven Van Gucht客員教授(Belgian national research institute of human and animal health,ヒトウイルス病部長)の発表によれば,COVID-19感染者が発病して1週間後に猫も調子を崩し,下痢,嘔吐,呼吸障害がみられたそうです。・・・・
・ペットとCOVID-19
・今回の発表が意味するもの
・犬や猫が家にいる場合
・入院することになったら出典:2020年3月29日時点の情報 IDEXX
新型コロナウイルスに感染した人が飼っているペットを預かるために知っておきたいこと(Ver.1)
(抜粋)
出典:2020年4月5日時点の情報 公益社団法人東京都獣医師会
Newsweek記事 猫のコロナ感染率は15%――「人→猫」「猫→人」感染は?(詳細は引用元参照)
・ベルギーの場合
・猫やフェレットは感染しやすいが犬は感染しにくい
・猫のコロナ感染率は15%
・プレプリント論文"SARS-CoV-2 neutralizing serum antibodies in cats: a serological investigation"「猫におけるSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の中和血清抗体 : 血清学的考察」の詳細出典:2020年4月12日時点の情報 Newsweek
世界保健機関が【Q&A】方式での情報を発表(Aは引用元参照)
Q1.新型コロナウイルスはペット(犬や猫)にうつりますか?
Q2.犬や猫にも「コロナウイルス感染症」があると聞いたことがありますが、
Q3.私は新型コロナウイルスに感染しました。ペット(犬猫)とどう接すればいいですか?
Q4.飼っているペットが新型コロナウイルスに感染したのではないかと心配です。
どうすればいいですか?出典:2020年4月24日時点の情報 世界保健機関
東京大学医科学研究所がネコの間で感染伝播するという研究結果を発表
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者から分離されたウイルスの、ネコの呼吸器における増殖能とネコ間での感染伝播能を解析した。
・新型コロナウイルスはネコの呼吸器でよく増え、さらにネコ間で接触感染することが分かった。
・新型コロナウイルスはネコに感染し、ネコの間で広がる可能性があることが示唆された。出典:2020年5月13日発表東京大学医科学研究所