阪神大震災、東日本大震災、熊本地震などを初めとする大きな災害が起こる中、ペットの防災や避難の仕方なども問題になってきています。
昨今ではペットの飼育数は2000万頭といわれています。家族同然のように一緒に暮らしているペットを災害が起きたからといって、自宅に残したまま避難するなんて考えただけでも辛くなってしまいます。
万が一の事が起きた場合を想定して、どのような備えをしておけばよいのか、ペットを連れた避難の仕方、避難所での過ごし方などを知っておきましょう。
はじめに
最近「ペットの同行避難」という言葉を耳にするようになりました。
相次ぐ大規模な震災の経験を経て、環境省は2013年に災害時にはペットは飼い主らの安全確保を前提に、飼い主と一緒に避難する「同行避難」を原則とするガイドラインを作成しました。
※「同行避難」とは災害発生時に飼い主が飼育しているペットを同行し、避難所まで安全に避難することです。避難所において人とペットが同一の空間で居住できることを意味するものではありません。
また、環境省は自治体等が地域の状況に応じた独自の対策マニュアルや動物救護体制を検討する際の参考となるよう災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを作成しました。
被災時、避難所において動物が嫌いな人もいるとは思いますが、ペットを飼っている側の人間からすると国がこのようなガイドラインを作成してくれた事、震災時には自治体が動物救護体制をしいてくれる事はとてもありがたく心強いことだと思います。
防災
上記で述べたような 「ペットの同行避難」をする為には、飼い主自ら積極的に防災に努めなければなりません。
ガイドラインにも事前に飼い主が努めておく事が以下のように記載されています。
普段の暮らしの中での防災対策
● ペットのしつけと健康管理
● ペットが迷子にならないための対策(マイクロチップ等による所有者明示)
● ペット用の避難用品や備蓄品の確保
● 避難所や避難ルートの確認等
● 災害時の心がまえ
この5つの防災対策ですが、具体的に説明していくと
● ペットのしつけと健康管理
猫の場合しつけというのは難しく感じるのですが、もし出来る事があるのならば、普段から人なれをしておく事、キャリーに入る事を嫌がらない事、トイレトレーニングをしておく事でしょうか。
人慣れというのも実際には難しいしつけで、いくら人の出入りがあっても怖がりの猫ならば押入れの中に隠れて出てこないなんて事はよくある事です。キャリー慣れにおいては、部屋の片隅にキャリーをいつでも入れるように置いておくなどが出来うる事でしょうか。
健康管理においては、定期的なワクチンの接種があげられます。もし避難所で他の猫と接する事があってもワクチンを打っていれば病気をもらうリスクが減るので安心です。
● ペットが迷子にならないための対策(マイクロチップ等による所有者明示)
対策としては、首輪、迷子札の装着。首輪だけ付けていても所有者がわからないのであればはぐれてしまった時に再開できないかもしれません。理想は首輪に所有者(氏名、連絡先)がわかる迷子札をつけておくのが一番です。
最近では「ペットのおうち」http://www.pet-home.jp/というサイトのうようにサイト内で飼い主情報を登録しIDを取得、そのIDをペットの迷子札に刻印し無料で受け取れるというサービスもあります。
首輪や迷子札に直接ペンなどで書きこむと薄くなったり、汚れて読めなくなったりという事もあるのでID方式はとても便利だと思います。
また、マイクロチップという方法も昨今では取り入れられていますね。まだまだ普及が少ないように感じますが今後どんどん増えていくのではないでしょうか。
※マイクロチップについては「移動の際の注意点」の記事に詳しく書いているのでご覧ください。
● ペット用の避難用品や備蓄品の確保
人間同様、いざという時に持ち出せる避難用品をまとめておくというのも重要です。
最近では以下のようなペットの避難グッズという物も販売されていてセットで購入してしまえば楽ちんです。
【MOFFオリジナル ペット防災セット】
※避難用品や防災グッズについては「備えて安心 猫の防災グッズ」の記事にまとめてありますので参考にしてください。
● 避難所や避難ルートの確認等
ペットを飼っているいないに関わらず、日頃からの備えとして避難所や避難ルートの確認は必要です。
また、家族と離ればなれにならない為にもどこに避難するかも事前に確認しておきましょう。
避難所は各市町村のホームページなどに記載されています。
ただ、どこの避難所がペット可になるのかは予め設定されていないようなので、災害時はとにかく自身の身の安全を確保し、定められた近隣の避難所へ避難しましょう。
実際、ペットと同行避難しても結局は避難所に一緒に入れるわけではないのでペットと共に車中泊をしたり、避難所の外にテントを張ったりしてペットと過ごす事が多いようです。車中泊は人間にもエコノミークラス症候群になる危険性があるので避けたい避難方法ではありますが、猫も犬と比べると神経質でストレスを感じやすい生き物です。普段住み慣れている場所から連れ出される、知らない人や動物と接するという事は大変なストレスを受ける事になるので、同行避難出来たとしてもストレスでなんらかの体調不良を起こさないか心配になりますね。
また、ペット可の避難所であっても犬や猫達は別室のケージに入れられ過ごす事を余儀なくされる事もあるようです。
2013年に環境省が「ペットの同行避難」のガイドラインを作成しペットの同行避難を推奨していますが、まだまだ自治体によって受け入れ態勢に差があるようです。仮設住宅の集落ごとに、敷地内に小規模なペットシェルターを作ったり、ペット可のテント村を作ったりとその時々で対応はさまざまのようです。