![猫の環境エンリッチメント](https://www.nyan-tena.com/blog/wp-content/uploads/2021/12/20211211919-scaled.jpg)
皆さんは環境エンリッチメントという言葉を聞いたことがありますか。飼育動物達が暮らしていく中で環境エンリッチメントが注目されています。この言葉の意味を知り、理解すると共に一緒に暮らす猫ちゃんにも最適な環境エンリッチメントを整えてあげましょう。
環境エンリッチメントとは
環境エンリッチメントとは「動物福祉の立場から、飼育動物の幸福な暮らしを実現するための具体的な方策」と定義されています。動物園や水族館などは野生の動物を人間の都合により飼育している事になります。飼育現場は人間に都合よく作られており掃除のしやすいコンクリートの床や壁に囲まれ自然界とは程遠い狭い展示場に入れられ飼育されています。このような状況に置かれて飼育される動物は食糞などの異常行動を起こすようになるのです。
環境エンリッチメントは1970年頃からアメリカの動物園で始まりその後世界中の動物園で取り組まれるようになってきました。日本では2000年頃からこの取り組みがはじまってはいるのですが、まだまだ浸透していないのが現実のようです。
動物園でみる環境エンリッチメント
猫の環境エンリッチメントを考えていく前に動物園で行われている環境エンリッチメントを覗いてみましょう。毎年市民ZOOネットワークという団体が2002年度より毎年「エンリッチメント大賞」を実施しています。
![オランウータン舎](https://www.nyan-tena.com/blog/wp-content/uploads/2021/12/20211211.jpg)
出典:市民ZOOネットワーク
![アカカンガルーのサンドバック](https://www.nyan-tena.com/blog/wp-content/uploads/2021/12/202112111029.jpg)
出典:市民ZOOネットワーク
猫においての5つ環境エンリッチメントポイント
5つのポイントを認識すると共に室内飼いの猫にとって何をしてあげられるかを考えていきましょう。
- 空間
- 食事の摂り方
- 社会
- 感覚
- 認知
動物本来の行動に着目した住環境作りをすること。野生時代の猫は優れた跳躍力を使い木の上に登って外敵から身を守ったり、獲物を狙っていました。この行動を活かしてあげる為には上下運動が出来るキャットウェークやキャットタワーを設置してあげたり、家の中を見渡せる高所で落ち着けるとっておきの場所を用意してあげると良いでしょう。上下のスペースの事なので、お部屋が狭くても取り組みやすいかもしれません。
猫は捕食本能である狩りを疑似体験させる事で採食エンリッチメントを整えてあげることができます。飼い主が出来る疑似体験とは、猫のおもちゃで遊んであげることが最も身近に出来ることですが、他にもペットボトルの中にカリカリを入れておいて転がして工夫することでおやつが食べられるようなフードディスペンサーを作ってあげるなど簡単に取り組める採食エンリッチメントがあります。
群れを作ったり、他の動物と接触したりというのが社会的エンリッチメントになるのですが、猫の場合は群れをなす動物ではないので難しいところではあります。猫が遊んでほしい仕草を見せたり、寂しそうにしていたら相手をしてあげる事。また、他の動物と暮らす事、多頭飼いもそれにあたるでしょう。子猫の頃から飼い始めたのであればしつけをしてあげるのも社会的エンリッチメントと言えるのではないでしょうか。
音、匂いなど五感に刺激を与えることですが、これらを刺激するおもちゃを用意してあげたり、他の動物の鳴き声を聞かせてみたりといった事があります。また、見方は異なるのですが、猫がマーキングした所(柱や家具の角などにすりすりしたあと)はにおいを付けているので拭き取らないようにしてあげましょう。
これは動物に考えさせて脳に刺激を与える事になりますが、「食事の摂り方」であげたように、考えて工夫しておやつやご飯が取り出せるといった仕組みをつくるのが脳の刺激になります。